アイラブ・にいがた・夢おこし、創生プラン
〜 未来を託せる若々しい県政へ 〜
泉田 裕彦
総論
 少子・高齢化や経済のグローバル化など社会の仕組みが急速に変わっていく中で、若者が未来に夢を持ち、誰もが安心して暮らせる豊かな新潟県を実現するため、新潟県の持っている潜在能力を引き出し、県民みんなが一緒になって「夢おこし」することができる県民共同参画型の県政を推進します。
 新潟には、新幹線、空港、港湾となんでも揃っており、大陸との表玄関になるという大きな可能性を秘めています。しかし、現在は、これら施設を十分生かし切れていません。これらの課題を克服できないため、新潟の経済は、右肩下がりとなっており、将来への希望を持ちにくくなっています。経済は、方向感が重要です。年1%でも、上向きか下向きかで、10年後の新潟の姿は大きく変わります。
 三位一体の改革(地方分権改革)が、国の省庁の抵抗などにより、地方分権の推進という本来の理念を逸脱し、各省の省益や国の財政再建のみを優先させた形で進められ、地方が苦しんでいることは、直前まで他県とはいえ地方行政に携わっていた者としては、肌身に感じています。県から市町村へ抜本的な権限と財源の委譲を進めたいと思います。
 「中央政府に物を言う」という姿勢で地方行政を行わなければ、東京一極集中が加速し、「地方の時代」というのはかけ声倒れに終わる危機感を持っています。明治以来の中央集権国家体制が変質しようとしている今、政策立案能力の違いが中長期的に見て、その地域の活力に大きく影響する時代に入りました。私は、真の地方自治を確立するために、全力を尽くします。具体的には、3つの大きな柱で政策を実施します。
 
1.将来への展望を切り開く地域経済の自立(産業夢おこしプラン)
 産業は、新潟県の未来の夢をはぐくむ力の源泉です。しかし、新潟県の地域産業や市街地の商店街は、空洞化が進み、どこも衰退の危機に陥っています。若者たちが地元で活き活きと働くことのできる場を確保することが何よりもまず重要です。
 高福祉、高負担でも、スウェーデン・フィンランドといった北欧諸国は、力強い経済成長を続けています。これは、多くの税金を納めてくれる企業が育っているためです。「産業は福祉の糧」と言われます。新潟生まれの新潟育ちの私ですから、ふるさと新潟に、新規企業創業や第2創業支援を積極的に行い「金の卵を産むニワトリ」を育てます。これにより、雇用の創出も併せて可能となります。若年者の雇用機会の創出も念頭に置き、成長分野(健康食品産業、医療福祉産業、交流産業、情報産業・極東資源開発による新しいエネルギー産業等)に重点的な産業政策を実施するとともに、農業、建設業という地域の基幹産業の振興を実施します。新潟を大陸とのゲートウェイ化し、産業振興を行うとともに、「観光立県」を目指し、ふるさと新潟を創生します。
  ○企業育成
 新潟には、優良なビジネスの種を育んでいる中小・零細企業が数多く存在します。また、食品産業は、健康分野を中心に市場拡大が期待できます。これらの企業が円滑に事業を拡大できるように研究開発による支援や販路開拓支援を強力に実施します。加えて、地場製品をまず、県庁が率先して調達することとします。地場企業の夢を実現するお手伝いを最優先で実施します。
  ○農業政策
食糧自給率を向上させることは、農業政策の基本です。一方で、新潟の水田に、麦が作付けされている姿は非常に寂しい限りです。やる気のある担い手の努力が報われるよう消費者の需要を反映した適地適産を推進するよう強く国に求めていきます。また、生産基盤の整備を進めるとともに、豊かな自然環境を守るために不可欠な中山間地域等直接支払制度の継続と農家の所得保障政策の実施を国に要請します。地産地消を基本とし、新潟米ブランドの販売支援体制の再構築による高付加価値化戦略を実施します。若者の営農を重視し、専業農家及び山村小規模農家を大切にします。
  ○新潟のブランド化
国内市場はもちろんのこと、アジアを中心とした国内市場に対しては、中国などを競争相手だと思うと競争は厳しくなります。中国をマーケットだと思えば、売り上げが増加します。中国市場等環日本海経済圏で勝てる新潟のブランド化とその宣伝のための投資を行い、知事自らセールスの先頭に立ちます。
  ○北東アジア交流圏の表玄関化
天津、広州、大連、青島定期便(航空路)の就航、観光客誘致、天然ガスを中心としたエネルギー開発を促進します。
○若年雇用対策
産業育成を通して、若年雇用対策を強力に推進します。
  ○インフラ整備
上越新幹線の新潟空港乗り入れ、新潟港湾、日本海東北道、新潟空港3000m化、一般鉄道高速化等を行いふるさと発展の基盤整備を行います。
  ○企業誘致
 働く場を確保し、収入を確保し、税源の涵養を行って新潟県を自立させるため、積極的に企業誘致を行います。例えば、健康で長生きを支援する健康産業を新潟へ。また、健康食品メーカーが、自然が豊かで水が豊富な土地を探しています。これらの企業ニーズに合致した誘致戦略を実施します。本社機能の一部を地方に持ってきたいという話もあります。このような企業も新潟へ誘導します。
 
2.安心・安全で、一人ひとりが大切にされる社会の実現(くらし夢おこしプラン)
 少子化や高齢化がこれ以上進むと「地域に子供たちの元気な声が聞こえない
街や村」になってしまい、地域の活力が失われてしまいます。また、今年7月、新潟県を突如襲った未曾有の大水害。日頃から危機管理の重要性を認識し、備えあれば憂いなしです。この度の災害復旧に全力を尽くすとともに、災害に強いふるさと作りを強力に進めます。
 安心・安全な社会の実現は、極めて重要な課題であり、「弱い人に力と光を」与えることなしに安定した社会を構築することは困難です。様々な人たちが支え合い、皆が大切にされる社会を実現するために女性の社会参画の促進を支援していきます。あわせて、女性が働きやすい環境整備に努めます。子供の頃は、鍵をかけないで出かけるのが当たり前でした。ところが最近は、犯罪も数多く発生しています。私は、昔ながらの新潟の良さを取り戻したいと思います。
 もちろん、これらの課題は、私一人で対応することは困難です。多くの皆さんや専門家を含む多くの方の意見を踏まえて、実施していきます。その際、単なるコストカットでない、選択と集中による行政事務の効率化、県民参加型県政としてこれらの行政を進めていきます。
拉致問題の全面解決に全力を尽くします。
拉致はあってはならない国家犯罪です。県民の生命・財産の保護は、知事が行わなければならない最大の使命と考えます。万景峰号の無制限の入港は、国とも連携しながら、不信と不安が募らない形にする必要があります。横田さんら拉致被害家族が納得がいくように、全面解決に向けて、全力で取り組みます。
 ○危機管理体制の整備 
県の危機管理担当部署に、24時間体制で県内を監視し、緊急時に即行動できる専門チームを設置します。また、緊急時の情報伝達の仕組み(必要に応じてシステム整備)を行います。
 ○災害対策
  この度の災害復興に全力を尽くすことに加えて、災害を未然に防ぐため、中小河川整備など治山治水対策に力を入れます。また、地域自主防災や地域防犯活動など地域コミュニティーの活動を支援します。
教育−「米百俵」の精神に学び、県内私立教育関係者と連携深め、教育立県を目指します。県立短期大学や公設民営の私立大学等を統合も視野に入れ、農業を含む様々な分野の担い手を育てる検討を直ちに開始します。新潟の大学進学率向上や農業を含む進学率日本一の専門学校への更なる支援を行い、高等教育機関を充実させます。これらにより、次世代の人材育成に積極的に取り組みます。地域のニーズに合致した教材・カリキュラムの採用を進めます。また、文化活動、自主的なスポーツ活動や生涯にわたって学べる環境整備を支援します。
○安心して子育てをする環境を構築します。
ファミリーサポートセンターの充実などコミュニティーと連携して、女性が安心して子育てできる環境をつくります。
 ○共同参画社会の実現のため、各種審議会等へ女性の登用を進めます。また、NPO活動やボランティア活動など、社会参加のための自主的活動を支援します。
 ○食の安全の確保
トレーサビリティーの確保及び情報の全面開示、評価・監視システムの整備を行うとともに啓蒙活動を進めます。
 ○特別養護老人ホームなどの施設入所に加えて、地域ぐるみで高齢者介護に取り組む介護の仕組み作りを行います。
 ○情報インフラの整備
情報インフラを産業政策として整備する時代は終わりました。民間で整備ができない地域に行政が手をさしのべ速やかに(4年以内)、全戸高速ネットワークに接続できる環境を整備します。
 ○医療・健康
救命救急、がん医療、24時間体制の小児医療センターの設置など充実した医療システムづくりを行い、健康で安心な生活を支えます。
医師の確保と地域医療ネットワークの整備を進めます。
障害者のための地域支援センターの設置を進めます。
病気になる前に健康維持管理をサポートし、「健康障害半減」を目指します。
 ○環境
ごみ半減運動に取り組み、環境に負荷の少ない循環型の地域社会作りを行います。
 
3.地方分権・財政構造改革の推進(地方自立夢おこしプラン)
 重要な課題が地方分権の推進です。私は、主人公である住民に一番近い自治体である市町村が、教育・福祉といった行政サービスを提供すること、つまり、自分たちのことを自分たちで決めることが、無駄をなくし、結果的に行政経費を節減することとなります。
 地元の自治体が提供できない行政サービス(例:防疫・産業施策・外交・貿易・防衛)についてだけ、順に広域の自治体である県や、国へ権限を委譲すべきだと考えています。特に、今度政令指定都市となる新潟市と県は車の両輪のように円滑な関係を構築しなければなりません。
 現在の県の業務を見直し、市町村への権限・財源・人材の移管を進めるとともに、国に対しては、他の自治体と連携して権限財源の地方への移管を求めたいと思います。また、行政事務の効率化・透明化を推進するためにNPO、市民団体、産業界と連携して、行政事務のアウトソーシングを推進します。これにより県民参加型の「小さな政府を実現します。
 このような県政改革を適切に進めることができれば、新潟県の財政規模であれば、十分な行政サービスを提供可能です。
 現在の新潟県財政は、放置しておくと極めて危険な状況です。しかし、「未曾有の危機」という状況では必ずしもないと認識しています。確かに、基金は減少しましたが、朱鷺メッセやビッグスワン等現金から不動産へ形を変えた部分があります。これらは、資産として残っているわけであり、有効活用することにより、財政改革の一助に活用可能です。
 ○情報公開を積極的に進めます。
 ○市町村への権限委譲等を強力に推進し、4年間で2割の人件費の総額抑制・定員削減を実施します。能力主義給与体系を導入(経済・財政が成長軌道に乗るまで、知事給与の見直しを含め、国家公務員並みに引き下げ)し、外部有識者や過去の慣習にとらわれない能力の高い内部人材の重要ポストへの積極登用を進めます。
○新潟県にあった公共事業を実施します。(東京基準でない新潟県にあった事業内容に変更することにより、地域の基幹産業である建設業振興や雇用の確保にも配慮した発注内容に見直し。)
 ○不動産(受益権を含む)の証券化により、政策に必要な資金の調達を実施します。
 
まとめ
 国の政策を地方に伝えるのではなく、地方の現場の声を国に伝え、現場から政策変更を迫ります。国からの無理難題の地方への押しつけには、防波堤になります。また、知事室にこもって考える知事でなく、若さと行動で現場で考える知事、このような知事が今、新潟に必要であると考えています。知事に就任することができれば、改めて、全市町村を回り、現場の声を踏まえた言行一致の行政を行いたいと思います。このため、政策についても、事後評価を確実に実施し、必要がある場合は見直しを行います。
 今、国も地方も財政難にあえぎ、従来の行政運営では立ち行かない状況にあります。新たな発想の下、単なるコスト削減でない、将来へ展望が持てる県政の運営が求められています。
 このため、国に依存するのではなく、自立することのできる強い新潟県をつくらなくてはならないと思います。「産業は福祉の糧」といいます。私は、これまで、産業政策に携わってきた経験を生かしながら、地方の時代にふさわしい新潟県を、県民の皆さんと共に築きあげていきたいと考えています。


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